
応募作品:水曜の恋人
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応募情報
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題名:水曜の恋人
掲載日:2007-06-05 (火) 00:29:09
著者:綾姫

「水曜の恋人」
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知られてはいけない秘密。
俺の水曜は、彼女のためにある。
「ごめん、今日はちょっと」
恋人の誘いを断りながら、ちくりと肩をかすめた罪悪感を振り払う。
「……どうしても?」
電話の向こうでくぐもる、甘えた響き。いつもの俺なら抗いようがない。
でも、
『あなたの水曜を、あたしにください』
恋人とは異質の、トーンの高い声が耳元に甦る。
今日は、水曜日だ。
「悪い。明日は絶対に予定空けとくから」
心の中で謝るように好きだよ、と呟く。
恋人のことは心から好きだ。愛していると言ってもいい。それなのに、どうしてこんなことになってしまったのだろう。
俺自身、戸惑っているのだ。
二人の女性を同時に愛してしまったことに。
どちらも失いたくなくて、表と裏を使い分ける。ひどく不誠実な所業だと、自分でもよくわかっている。罪悪感もあるし嫌気もさすが、今は本当に……どうしようもない。
自分の中の情熱に戸惑うほど、俺は彼女に夢中になり、同時に、恋人を深く想っている。この矛盾を諌める方法が、どうしても見つからないのだ。
その葛藤は今日も、彼女に会えるという幸福の前に雲散霧消する。
俺は急ぎ足でアパートの階段を上った。
時間は迫っているが、焦るほどじゃない。だが、期待からくる高揚感が俺の足取りを緩めさせようとしない。
部屋のドアを開け、もどかしく靴を脱ぐ。腕時計に目を走らせると、針は六時五十分を指していた。……あと十分。
俺は上着を脱いでソファに放り投げ、テレビをつけて彼女を待つことにした。
やかんに湯を沸かし、コーヒーを淹れる。彼女の好きな、バニラフレーバーのコーヒー。ミルクと砂糖をたっぷり注いだマグを片手に、テレビの前へ腰を下ろした。
賑やかなコマーシャルが、少しだけ鬱陶しい。俺はそわそわと腕時計に目を走らせる。
あと一分。三十秒。十秒……
いつものように七時きっかりに、彼女は現れた。
『ちゃらっちゃ〜、ちゃらっちゃ〜、
らっちゃらっちゃらちゃら〜』
華々しくポップな音楽を背に……
『乙女戦士、もえもえキュート〜!』
彼女はいつものポーズを決める。
かわいい。やっぱりかわいい。マジかわいい。
というか、萌えるぜチクショウ。
心の中で恋人に手を合わせつつ、俺は三十分の彼女との逢瀬を楽しんだ。
これが終わったらビデオを見返して、ファンサイトのチャットで語り合って、余韻に浸りながら同人誌を……
知られてはいけない秘密。
俺の水曜は、彼女のためにある。

評価
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一言感想
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- ちょっとにやりとしました。私好みです(笑)。
-- Guym 2007-06-05 (火) 09:46:42
- 綾姫さんの日曜朝を連想したのは気のせいでしょうか?( ̄ー ̄)
-- Shiori 2007-06-05 (火) 10:05:37
- 文章というよりネタ重視のイロモノ作品という感じになったので、ちょっと反省してます; でもにやりとしていただけたなら幸いです。 日曜朝は・・・恋人こそいませんが、似たようなものですね(爆)
-- 綾姫 2007-06-05 (火) 11:56:25
- ああ〜、先生は怒らないから自分のことだと思ったやつは申告するようにw (おもしろかったです!)
-- たらい 2007-06-05 (火) 18:31:06
- ようやくちゃんと読みました。面白い!その発想はなかったなぁ〜という感想デス。ま、のびちゃんだったら録画しておいて彼女とデートしますけど(笑)あと、二人の”彼女”を文章中で呼び分けるために、リアル彼女をあえて恋人って書いてるんですねぇ。上手いな〜と思いました!
-- Nobichan 2007-06-06 (水) 23:40:51
- 御二方とも感想ありがとうございます。場違いではないかとびくびくしていたので気に入っていただけて嬉しいです。ネタは曜日が限定される裏、というところから思いつきました。皆さんの色々な発想が見られるのをわたしも楽しみにしています!
-- 綾姫 2007-06-07 (木) 01:34:52
| ページ名: | オリジナル小説/裏がある水曜日/水曜の恋人 [ 送信した通知Ping(0) ] | |
| ページ作成: | 綾姫 [6ZhRvg7kEeZk] | - 2007/06/12 15:09:38 JST(526d) |
| 最終更新: | ゲスト | - 2007/06/12 15:09:38 JST(526d) |
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