
第一夜「フォークとスプーン」
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第一夜「フォークとスプーン」
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「フォークじゃだめだよ。傷がついちゃうじゃないの!」
「なんでよぉ。丸いんだから、スプーンでとって落としたらどうするの!」
ヒトミは言いあらそう声を聞いて、隣の庭を覗いた。すると、ママゴトをしていた二人の姉妹が、どうやらなにかもめているらしい。
「どうしたの? ケンカしちゃだめでしょ」
ヒトミは優しく微笑みながらとめにはいる。彼女は、数日前に隣へ越してきたこの姉妹と、ときどき遊んでやっていた。
「だって、お姉ちゃん。メーちゃんがスプーンより、フォークの方が食べやすいっていうんだもん」
「だってだって、アーちゃんはね、フォークなら刺して食べられるから、便利だと思ったんだもん」
「フォークとスプーン?」
見れば、オママゴト用のかわいいテーブルの上には、本物のフォークとスプーンが並べてある。
「お家でも、フォークやスプーンを使うの?」
「うん、そうだよ。そっちのが食べやすいんだもんね」
「ねぇー」
まだ小学校低学年の姉妹は、お互いに向き合って首を傾げる。
『ああ、そうか! お隣さんは洋食派なのね……』
ヒトミはその様子を見ながら、うちに通っているお米屋さんの話を思い出した。隣が越してきて間もなく、そのお米屋さんが出前の契約をとろうとしたらしいのだが、「米は食べない」とはっきり断られたらしいのである。
「ねぇ、お姉ちゃんはどっちのがいいと思う?」
「え?……そうね、食べる物によるんじゃないかしら。アーちゃんたちは何を食べるのかな?」
「知りたい?」
「知りたい?」
姉妹はニコニコとしながら、ヒトミの腕に抱きつくようにする。ヒトミは二人の顔を順番に見て、「ええ」と頭を縦にふった。
「じゃぁ、じゃぁ、お姉ちゃんはここに坐って、目をつぶっててね」
「あら? もったいぶってんのね。よほど美味しいものなのかしら?……いいわ。言うとおりにしましょう」
彼女は姉妹のすすめるままに、敷物の上に腰をおろし、瞼をとじた。
「これでいいかしら?」
「いいわ……」
「きっと、すごく美味しいものなんでしょうね?」
「うん。すごく美味しいわよ……すごく……」
姉妹の舌なめずりが聞こえる。
そして、姉妹がそれぞれもったスプーンとフォークは、ゆっくりとヒトミの眼球に近づいていった……。

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| ページ名: | オリジナル小説/一般/Guymな話:第一夜 [ 送信した通知Ping(0) ] | |
| ページ作成: | ゲスト | - 2007/03/11 22:12:57 JST(619d) |
| 最終更新: | ゲスト | - 2007/03/11 22:12:57 JST(619d) |
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