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第二夜「あいていた……」 この見出しの固定リンク

芳賀 概夢


 俺は自分で言うのもなんだが、二枚目だ。
 ニヒルな口許、きれながの目、高い鼻、細面の輪郭……どれをとっても一級品だ。
 そして、ファッションセンスも悪くはない。
 今は、広い肩幅にクリスチャン・ディオールのジャケットがかかり、長い足をトラサルディのジーンズが隠している。
 上下とも白。その白が、人の波を渡っていく。
 原宿、表参道を歩く俺に、熱い視線が刺さる。
 男どもは、俺の恵まれた容姿に嫉妬していたようだ。
 女どもは、俺の姿に憧れ、恋し、なかには欲情的な色まで見せている奴もいる。
 時にはそんな女たちに、かるい流し目や、ウインクを送ってやった。それを受けた女どもは、顔を真っ赤にしてうつむき、顔を背ける。
 俺は満足な気分を味わいながら、家にもどった。
 そして、姿見に自分の姿をうつす。
 やはり、かっこいい。
 今はやりのヘアースタイルに、抜群の風貌をもつフェイス、広い胸板、引きしまった腹筋、そして……
 だが、俺はそこまで自分の姿を確認して、顔が真っ青になった。
 一気に大量の冷汗が俺をおそい、血のけが下がる。
 後悔した。なんで気がつかなかったのだろう。
 俺の唇がワナワナと震えながら言葉をやっと発する。
「チャ、チャックが……」
 あいていたのである。


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